抗がん剤治療中の大血管炎の発症、私自身はまだ経験したことはありません。
目的
抗がん剤治療中は、感染による発熱や炎症反応上昇をきたすリスクがあるが、大血管炎も同様の症状を呈することがあり、鑑別診断に含める必要がある。
大血管炎と顆粒球コロニー形成刺激因子製剤(G-CSF)および化学療法の使用との因果関係を示唆する症例報告や有害事象報告がいくつか発表されている。
そこで、大血管炎とG-CSFおよび化学療法との関連性を評価することを目的とした。
方法
2016年から2018年にかけて、フィンランドでG-CSFおよび化学療法に関連する薬剤誘発性の大血管炎の可能性が高い患者6名を認めた。6名とも乳がんであった。
cancer(がん)、chemotherapy(化学療法)、G-CSF、大血管炎の包括的な検索語を用いて、PRISMAガイドラインに従って系統的な文献レビューを行った。
結果
文献検索の結果、18件の類似の症例報告が確認されたが、そのほとんどが2014年以降に発表されたものであった。
全患者を合わせた(n=24)において、最後の薬剤投与から大血管炎の症状までの時間は、G-CSFで平均5日(範囲=1~8日)、化学療法で9日(範囲=1~21日)であった。
一般的な症状は、発熱(88%)、首の痛み(50%)、胸痛(42%)であった。
画像診断に基づき、17/24(71%)は胸部大動脈と大動脈上血管に血管炎を有していたが、5/24(21%)は頸動脈領域に限定して炎症を起こしていたと報告された。
<まとめ>
G-CSFや化学療法に伴う重篤な有害事象の一つに大血管炎が含まれる可能性がある。