間質性肺疾患の一部には、進行性に肺が硬くなっていく(線維化する)、咳や息切れが悪化する、肺活量が低下する、QOLが低下する、などの経過を呈するフェノタイプがあることが知られており、これらは
- 進行性フェノタイプを示す慢性線維化性間質性肺疾患
- 進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)
などと呼ばれ、現在注目されています。
進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対して、抗線維化薬であるニンテダニブ(商品名:オフェブ)を用いた臨床試験が日本を含む世界全15か国で行われ、2019年にその結果が報告されました(INBUILD試験)。
今回このINBUILD試験から、膠原病などの自己免疫性間質性肺疾患のみを抽出したサブグループ解析の結果が報告されました。
結果
自己免疫性間質性肺疾患を有する170名の患者において、52週間にわたるFVCの減少率は、ニンテダニブで-75.9mL/年、プラセボで-178.6mL/年(差 102.7 mL/年 [95% CI 23.2, 182.2]; nominal P=0.012 )であった。
間質性肺疾患の各診断によるサブグループ間で、ニンテダニブとプラセボの効果に異質性は検出されなかった(P=0.91)。
最も頻度の高い有害事象は下痢で、ニンテダニブ群では63.4%、プラセボ群では27.3%の被験者に認めた。
また、有害事象により治験薬の投与を中止した患者は、ニンテダニブ群で17.1%、プラセボ群で10.2%であった。
<まとめ>
INBUILD試験において、ニンテダニブは、自己免疫性間質性肺疾患においても肺機能の低下を抑制する効果を認めた。下痢は約60%に認め、約20%が有害事象によりニンテダニブを中止せざるを得なかった。