ニンテダニブの副作用:②INBUILD試験の結果

間質性肺疾患の一部には、進行性に肺が硬くなっていく(線維化する)、咳や息切れが悪化する、肺活量が低下する、QOLが低下する、などの経過を呈するフェノタイプがあることが知られており、これらは

  • 進行性フェノタイプを示す慢性線維化性間質性肺疾患
  • 進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD

などと呼ばれ、現在注目されています。

進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対して、抗線維化薬であるニンテダニブ(商品名:オフェブ)を用いた臨床試験が日本を含む世界全15か国で行われ、2019年にその結果が報告されました(INBUILD試験)。

Flaherty KR, et al. Nintedanib in Progressive Fibrosing Interstitial Lung Diseases. N Engl J Med 2019;381:1718–27.

INBUILD試験に関しての詳細はこちらの記事もご覧ください。

この試験の結果から、特発性肺線維症以外の間質性肺疾患で、進行性に悪化する一群(PF-ILD)に対するニンテダニブの副作用が明らかとなっています。

(図. ニンテダニブの有害事象。文献より引用掲載)
この試験の結果では、

  • 下痢:70%
  • 嘔気:29%
  • 嘔吐:18%
  • 食欲不振:15%
  • 体重減少:12%
  • 肝酵素上昇:約12%

であり、やはり消化器症状食欲不振体重減少が多い結果でした。

これらの副作用は、過去に特発性肺線維症(IPF)や全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)で行われた試験と同様の結果です。そのため、現状では間質性肺疾患で進行性の悪化をたどる一群であるPF-ILDにニンテダニブを用いることで、これまでの結果と比較して、何か特別に大きな副作用は心配しなくてもよいと考えられています。

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