全身性強皮症の臨床経過の多様性

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全身性強皮症に伴う間質性疾患(SSc-ILD)のヨーロッパの大規模なコホート研究から、経年的な肺機能の推移を評価し、疾患経過の多様性を述べた大変重要な研究が報告されています。

Hoffmann-Vold A-M, et al. Progressive interstitial lung disease in patients with systemic sclerosis-associated interstitial lung disease in the EUSTAR database. Ann Rheum Dis 2021;80:219–27.

 

目的

ヨーロッパの全身性強皮症のデータベース(EUSTAR)の長期追跡データを用いて、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)患者における全疾患経過、進行パターン、進行性フェノタイプの予測危険因子を明らかにすること。

 

方法

EUSTARデータベースに登録されたSSc-ILD患者を対象

ベースライン時と12±3ヵ月後に努力肺活量(FVC)の計測を行った。複数のFVC測定値を有する患者において、長期の進行性ILDおよび進行パターンを評価した。

ILDの進行の潜在的な予測因子を多変量混合効果モデルを用いて分析した。

 

結果

SSc-ILD患者826例を対象とし、12±3ヵ月間に219例(27%)でILDの進行を認めた。

535人(65%)の患者は、平均5年間のフォローアップで複数のFVC測定が可能であった。各12ヵ月間で、SSc-ILD患者の23%~27%にILDの進行が認められたが、連続した期間で進行が認められた患者は少数派であった。

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(図. A:5年間のFVCの変化。B:各年度ごとのFVCの変化。文献より引用掲載)

 

進行性ILD患者の58%は、肺機能の低下よりも安定/改善の期間の方が多い、緩やかな肺機能低下のパターンを示した。急速で継続的なFVCの低下を示したのは8%のみで、178人(33%)はFVC低下を認めなかった。

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(図. 各年度ごとのFVCの改善・悪化の推移。文献より引用掲載)

 

5年間にわたりFVC低下の最も強い予測因子は、男性、修正Rodnan皮膚スコア高値、逆流性食道炎や嚥下障害の症状であった。

 

 

<まとめ>

全身性強皮症に伴う間質性肺疾患の経過は様々であり、注意深く観察することが重要である。

 

 

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