過敏性肺炎は、微生物、真菌、動物由来のタンパク、無機物などの抗原を繰り返し吸入することで生じる間質性肺炎であり、主にⅢ型、Ⅳ型アレルギーが原因と考えられています。
抗原回避が何より重要ですが、実際の臨床においては、特に線維化性過敏性肺炎では完全に抗原を回避することが難しいことも多く経験します。
この抗原回避がいかに重要であるかを検証した日本からの研究が報告されました。
背景
過敏性肺炎(HP)は、非線維化型と線維化型の表現型に分類される。非線維化型は再発や線維化を起こすことが多く、線維化型は予後不良である。抗原回避は長い間、HPの治療の第一選択であったが、予後への影響はあまり報告されていない。
方法
米国胸部医学会/日本呼吸器学会/ラテンアメリカ胸部医学会(ATS/JRS/ALAT)ガイドラインの新しい診断基準により診断され、当院で治療を受けたHP患者121人の診療記録を後方視的に分析した。
HPは非線維化と線維化の表現型に分類され、6つのHPサブタイプ(夏型、鳥関連、家庭関連および職業性HP、加湿器肺、温水器肺)に分類された。
誘因物質への曝露の低減の達成度は、HPサブタイプごとに完全抗原回避(CAA)と不完全抗原回避(IAA)に分けられた。
結果
非線維化性HP74例のうち、30例はCAAを達成し、再発も線維化の進展もなかった。残りの44例では、24例(54.5%)が再発および/または線維化の進展を経験した。
線維化性HP47例の5年死亡率は47.8%であった。これらの患者におけるHP関連死亡の予後因子は、気管支肺胞洗浄(BAL)中のリンパ球が50%未満であることと、蜂巣肺であった。多変量解析では、IAAが生存率の低下と関連する傾向が認められた(ハザード比 3.452,95% CI 0.964-12.359,p=0.057)。
<まとめ>
非線維化性HPでは、完全に抗原を回避することができれば、再発や線維化の進展を予防できる可能性があり、予後も良好であった。一方、線維化性HPでは、BALリンパ球数50%以下と蜂巣肺が予後不良因子であった。