間質性肺炎において、実は肺リハビリテーションのエビデンスは不足しています。
背景
特発性肺線維症(IPF)における肺リハビリテーションのアドヒアランスと臨床効果は、特にCOPDとの比較において、いまだ不明確である。
研究目的:同じ監視下外来肺リハビリテーションプログラムを受けたIPF患者とマッチさせたCOPD患者の反応を比較し、肺リハビリテーションがIPFの生存と関連するかどうかを判断すること。
方法
傾向スコアマッチングを用いて、IPF患者163人と、肺リハビリテーションに紹介されたCOPD患者163人の対照群を1対1でマッチさせた。
グループ間の肺リハビリテーションの完遂率と反応性を比較した。
リハビリプログラム:8週間の外来プログラムを受け、2回の運動と教育セッション、週に最低1回の自宅での運動セッションで構成されていた。(⇒リハビリプログラムの詳細はsupplementary dataに記載あり)
IPFコホートにおける生存状況は、肺リハビリテーション退院後1年間記録された。Cox比例ハザード回帰により、肺リハビリの状況と全死亡率との関連を調べた。
結果
肺リハビリテーションの完遂率はIPFで69%、COPDで63%であった(P = 0.24)。
運動後の改善は両群で同等であり、漸増シャトルウォークテスト(ISWT)の変化(平均2m[95%CI、-18~22 m])に群間の有意差はみられなかった。
肺リハビリテーションの非完遂(HR 5.62[95%CI,2.24~14.08])および非反応(HR 3.91[95%CI,1.54~9.93])は、IPFの1年後の全死亡率の上昇と独立して関連していた。
<まとめ>
IPFはCOPDと同程度の肺リハビリテーションの完遂率及び反応性を認めた。さらに肺リハビリテーションの非完遂や非反応は、死亡率上昇と関連していた。この研究結果から、IPFにおいても肺リハビリテーションが有益である可能性が支持される。