IPFに対するリハビリの効果は?

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間質性肺炎において、実は肺リハビリテーションのエビデンスは不足しています。

Nolan CM, Polgar O, Schofield SJ, Patel S, Barker RE, Walsh JA, et al. Pulmonary Rehabilitation in Idiopathic Pulmonary Fibrosis and COPD: A Propensity-Matched Real-World Study. Chest 2022;161:728–37.

 

 

背景

特発性肺線維症(IPF)における肺リハビリテーションのアドヒアランスと臨床効果は、特にCOPDとの比較において、いまだ不明確である。

研究目的:同じ監視下外来肺リハビリテーションプログラムを受けたIPF患者とマッチさせたCOPD患者の反応を比較し、肺リハビリテーションがIPFの生存と関連するかどうかを判断すること。

 

方法

傾向スコアマッチングを用いて、IPF患者163人と、肺リハビリテーションに紹介されたCOPD患者163人の対照群を1対1でマッチさせた。

グループ間の肺リハビリテーションの完遂率と反応性を比較した。

リハビリプログラム:8週間の外来プログラムを受け、2回の運動と教育セッション、週に最低1回の自宅での運動セッションで構成されていた。(⇒リハビリプログラムの詳細はsupplementary dataに記載あり)

IPFコホートにおける生存状況は、肺リハビリテーション退院後1年間記録された。Cox比例ハザード回帰により、肺リハビリの状況と全死亡率との関連を調べた。

 

結果

肺リハビリテーションの完遂率はIPFで69%、COPDで63%であった(P = 0.24)。

 

運動後の改善は両群で同等であり、漸増シャトルウォークテスト(ISWT)の変化(平均2m[95%CI、-18~22 m])に群間の有意差はみられなかった。

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(図. ISWTの距離の変化。文献より引用掲載)

 

肺リハビリテーションの非完遂(HR 5.62[95%CI,2.24~14.08])および非反応(HR 3.91[95%CI,1.54~9.93])は、IPFの1年後の全死亡率の上昇と独立して関連していた。

 

 

<まとめ>

IPFはCOPDと同程度の肺リハビリテーションの完遂率及び反応性を認めた。さらに肺リハビリテーションの非完遂や非反応は、死亡率上昇と関連していた。この研究結果から、IPFにおいても肺リハビリテーションが有益である可能性が支持される。

 

 

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