新型コロナウイルス感染症の急性期の肺病理所見は?

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新型コロナウイルス感染症の急性期の肺病理組織は感染のリスクから調べることが難しいのが現状です。そのような状況下で急性期の肺病理12例を調べた研究がイタリアから報告されています。

Doglioni C, et al. Covid-19 Interstitial Pneumonia: Histological and Immunohistochemical Features on Cryobiopsies. Respiration 2021;100:488–98.

 

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が間質性肺炎に至る病態は、未だ解明されていない。これまでの死亡後の肺病理を評価した研究のほとんどは、最も関連性の高い組織学的パターンとして、びまん性肺胞損傷(DAD)パターンであることを報告している。

しかし、これらは死亡時の所見であり、様々な修飾がかかっている可能性がある。生存時の肺生検は、疾患の初期段階に関するより正確なデータを提供し、新しい治療アプローチの基礎となる可能性がある。

目的:中等症Covid-19肺炎の患者から得られた肺サンプルの形態学的および免疫組織化学的特徴を確認すること。

 

方法

Covid-19肺炎患者12例を対象に、症状発現後20日以内にクライオバイオプシーを実施した。

 

結果

病理組織学的変化として、Ⅱ型肺胞上皮の過形成を伴う斑状の急性肺障害が認められたが、hyaline membraneの所見はなかった。

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(図. Ⅱ型肺胞上皮の過形成と間質の肥厚。文献より引用掲載)

  • Ⅱ型肺胞上皮過形成の50%以上にリン酸化STAT3の強発現が認められた。
  • 肺胞間毛細血管は内腔が拡大し、部分的に重層的に配列していた。
  • 肺静脈は、内腔の拡大、壁の肥厚、および血管周囲のCD4陽性T細胞の浸潤を認めた。
  • PD-L1およびIDOの発現に関連したリン酸化STAT3の強発現が、静脈および間質毛細管の内皮細胞で観察された。
  • 肺胞腔マクロファージは特異な表現型(CD68, CD11c, CD14, CD205, CD206, CD123/IL3AR, PD-L1)を呈した。

 

 

<まとめ>

新型コロナウイルス感染症の初期には、びまん性肺胞障害とは異なる病理所見であり、hyaline menbraneを伴わない急性肺障害の所見やⅡ型肺胞上皮の過形成を認めた。

 

 

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