高齢者に対するニンテダニブの効果と安全性

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特発性肺線維症の治療薬の一つにニンテダニブ(商品名:オフェブ)がありますが、実は高齢者に関しての有効性のデータは不足しています。2020年に日本から報告された75歳以上の高齢者に対するニンテダニブの有効性に関する研究です。

Takeda T, et al. Improvement in Subjective Symptoms and Tolerability in Response to Nintedanib Treatment in Elderly Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis. J Clin Med Res 2020;9.

背景

特発性肺線維症(IPF)患者に対するニンテダニブ治療の有効性はすでに報告されていますが、75歳以上の高齢者におけるニンテダニブの意義に関してはデータが不足している。

方法

高齢者32名を含む、新たにニンテダニブを投与された54名の患者をレトロスペクティブに評価した。

ニンテダニブ投与開始の6ヶ月前、投与時、6ヶ月後、12ヶ月後に、modified medical research council (mMRC) grade と COPD (chronic obstructive pulmonary disease) assessment test (CAT) score、努力肺活量(FVC)の変化を評価した。

★ここで用いているmMRC、CATスコアに関しては以下の記事もご覧ください。

結果

努力肺活量の推移は、高齢者と若年者の間で、ニンテダニブ投与開始から12か月の間で有意な違いはなかった。

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(図. 努力肺活量(FVC)の推移。文献より引用掲載)
CATスコアは、投与6ヶ月前とベースラインとの間で悪化、ベースラインと投与6ヶ月後および12ヶ月後で改善が有意差をもって確認された。

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(図. mMRC(左)とCAT(右)の推移。文献より引用掲載)
主観的な改善をmMRCグレードが1点、CATスコアが3点と改善と定義すると、25人(46.3%)の患者が治療6カ月後に有意に改善した。

ニンテダニブの忍容性は、高齢者でも若年者でも同様であった。

<まとめ>

ニンテダニブは75歳以上の高齢者に対しても、同様の治療効果や忍容性が期待される。

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