全身性強皮症に対して新たな治療薬であるリツキシマブ(商品名:リツキサン)が保険収載されています。その根拠となったDESIRES試験のサブ解析の結果が報告されました。
DESIRES試験に関してはこちらの記事もご覧ください。
目的
DESIRES試験により、リツキシマブが全身性強皮症における皮膚硬化に有効であることが示された。しかし、どのような患者群にリツキシマブが有効であるかは不明である。
方法
DESIRES試験でリツキシマブまたはプラセボを投与された患者54人の前向きデータについて、ポストホック解析を行った。27のベースライン因子を用いて、24週時点のmodified Rodnan Skin Score(mRSS)変化に対するリツキシマブの効果が異なる部分集団について検討した。
Causal treeと呼ばれる機械学習アルゴリズムに基づき、リツキシマブに反応し、良好な治療成績が得られる集団を特定するために必要な予測因子の組み合わせを検討した。
mRSSとは皮膚硬化の指標で、手や足、顔や胸部などの17か所を0-3点(点数が大きいほど皮膚硬化が強い)で点数化し、合計51点で皮膚硬化の程度を表す指標です。
結果
末梢血CD19陽性細胞数、mRSS、血清サーファクタント蛋白D(SP-D)値の3つの因子が同定された。
- CD19陽性細胞数<57/μlの患者の部分集団においてのみ、リツキシマブはプラセボに対してmRSSの有意な改善を示さなかった。
- リツキシマブでmRSSが最も改善したのは、CD19陽性細胞数≧57/μl、mRSS≧17の患者の部分集団であった。
- リツキシマブによるmRSSの改善が2番目に大きかったのは、CD19陽性細胞数≧57/μl、mRSS<17、血清SP-D値≧151ng/mlの部分集団であった。
<まとめ>
CD19陽性細胞数が多く、mRSSが高い全身性強皮症の患者は、リツキシマブによりmRSSがより改善しやすいことが明らかとなった。さらに、CD19陽性細胞数が多いがmRSSが低い患者では、血清SP-D値が治療効果を予測する可能性がある。
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