肺がんのみならずがん治療は目まぐるしい進歩を遂げています。その中で免疫チェックポイント阻害薬は革新的な治療薬ですが、自己免疫性疾患がある場合や免疫関連の有害事象が問題となります。
自己免疫性疾患を有する患者に対する免疫チェックポイント阻害薬を選択する際に、参考にあるデータが報告されました。
目的
がん治療用の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、しばしば免疫関連の有害事象(irAE)を誘発する。そのため自己免疫疾患のある患者の多くは、ICIの臨床試験から除外されてきた。
研究目的:自己免疫疾患とがんを有する患者において、ICIの安全性と有効性を評価すること
方法
2017年1月から2018年1月に後方視的コホート研究をフランスで実施した。
ICIが投与されている自己免疫疾患の既往のある成人を対象に、自己免疫疾患の再燃、他のirAE、および抗がん剤の効果について評価した。
結果
対象の患者背景
- 症例数:112例
- 観察期間中央値:8カ月
- 代表的な自己免疫疾患:乾癬(n = 31)、関節リウマチ(n = 20)、炎症性腸疾患(n = 14)、その他がSLE、PMR/GCA、SpAなど
- ICI開始時に免疫抑制療法を受けていた患者は24例(22%)
自己免疫性疾患の再燃は47%で認めた。他のirAEは42%で認めた。
- 免疫抑制治療が必要であったのは43%
- ICIの継続的な中止が必要であったのは21%
無増悪生存期間中央値は、ICI開始時に免疫抑制治療を受けていた患者で短かった(3.8カ月vs12カ月、P = 0.006)。
<まとめ>
自己免疫性疾患の患者に対するICIは、自己免疫性疾患の再燃やirAEは約50%で認めるが、ICIの継続的な中止は約20%に留まった。自己免疫性疾患の患者に対するICIは選択肢として検討の余地があるかもしれない。