日本から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化の予測モデルを構築した研究が報告されました。
目的
日本の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスク要因を検討し、重症化リスクの予測モデルを構築することを目的とした。
方法
2020年2月1日から2021年3月10日の間にCOVID-19と診断された成人日本人患者を後方視的に評価した。
患者は臨床経過中の状態に基づき、重症群と非症例群に分けた。
- 重症群の定義:以下のいずれか一つ以上を満たす
- 呼吸不全
- 敗血症性ショック
- 多臓器不全
結果
合計300名の患者が登録され、そのうち86名(29%)が重症群に含まれた。
多変量解析により年齢≧65歳、血液透析、診断時に酸素投与が必要、初期のCRP値≧6.5 mg/dLがCOVID-19の重症化と独立して関係していたことが明らかとなった。
年齢、性別、糖尿病、血液透析、診断時に酸素投与が必要、初期のCRP値≧6.5 mg/dLを重症化の予測因子として設定し、合計23点満点でスコアリングした。
(図. 各所見の点数。合計23点満点。文献より引用掲載)
このモデルのAUCは0.86(95%CI:0.81-0.90)であり、12点をカットオフとした場合の感度は43.0%、特異度は93.9%であった。陽性的中率は74.0%、陰性的中率は80.4%であった。
この重症化予測モデルを2021年3月から5月にCOVID-19で入院した27例でバリデーションを行ったところ、重症群は5例、AUCは0.83(95%CI:0.58-1.0)であった。
<まとめ>
日本人のコホートを用いて、COVID-19の重症化を予測するスコアリングモデルが構築された。