COVID-19と特発性肺線維症(IPF)の遺伝的背景の関与

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COVID-19の重症化リスクと特発性肺線維症(IPF)の遺伝的背景を調べた研究が報告されました。

Fadista J, et al. Shared genetic etiology between idiopathic pulmonary fibrosis and COVID-19 severity. EBioMedicine 2021;65:103277.

 

背景

特発性肺線維症(IPF)は、進行性の肺の線維化を特徴とする複雑な肺疾患であるが、重症のCOVID-19はIPFと共通の危険因子を多数有している可能性がある。

研究の目的:IPFと重症COVID-19の遺伝的相関を明らかにし、IPFの遺伝的な危険因子とCOVID-19の重症度との因果関係を評価すること。

 

方法

IPFとCOVID-19の重症度の間の遺伝的相関を連鎖不平衡スコア回帰により推定した。COVID-19において、IPFとの因果関係をメンデルランダム化(MR)により検討した。過去のゲノムワイド関連研究(GWAS)でIPFと関連した遺伝子変異を操作変数(IV)として使用した。COVID-19 Host Genetics InitiativeによるGWASメタ解析(4336例、623902例の対象群)から、COVID-19重症度に対するこれらのIVの効果推定値を収集した。

 

結果

IPFとCOVID-19の重症度には正の遺伝的相関を検出した。

COVID-19重症度のMR推定値では、遺伝的な関連は認められなかった。しかし、外れ値解析により、MUC5BのIPFリスクアレルrs35705950は、他の変異体と比較して異なる影響を及ぼすことが明らかになった。rs35705950を除外すると、MRの結果は、IPFの遺伝的な危険因子がCOVID-19の重症度と関係することがわかった。

MUC5BのIPFリスクアレルrs35705950は、高齢者においてCOVID-19入院に対する明らかな予防効果を示した(OR 0.86, 95%CI 0.73-1.00, P = 0.0299)

 

 

<まとめ>

IPFの最も強い遺伝的因子であるMUC5Bのrs35705950は、COVID-19に対して保護的に働く可能性がある。

 

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