重症COVID-19後の線維化をきたす予測因子を検討した研究がRadiology2021に報告されています。
背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した患者、特に重症の患者における長期的な肺の変化については、ほとんど知られていない。
研究の目的:重症COVID-19肺炎の生存者の6か月後の胸部CTを前向きに評価し、肺の線維化様の変化の危険因子を調べること。
方法
重症COVID-19の114人の患者(70%が男性、平均年齢54±12歳)を前向きに調査した。
- 初回およびフォローのCTは、症状発現後、それぞれ平均17±11日および175±20日に撮影。
肺の変化(opacification、consolidation、網状影、線維化様の変化)とCTスコアを評価した。
- CTスコア:肺葉ごとに0-5点をつけ、0-25点で評価
- 0点:病変なし
- 1点:5%未満
- 2点:5-25%
- 3点:26-49%
- 4点:50-75%
- 5点:>75%
6カ月後のCT所見によって、線維化様の変化あり群となし群に分類した。
- 線維化様の変化:牽引性気管支拡張症、parenchymal bands、蜂巣肺
(図. A:牽引性気管支拡張、B:parenchymal bands、C:蜂巣肺、DとE:隣接する胸膜の肥厚。文献より引用掲載)
結果
6か月時点で、114例の患者のうち、40例(35%)が線維化様の変化を認めた。
- 残りの74名(65%)では、完全に陰影が消失したのは43例(38%)、すりガラス影や間質の肥厚が残存していたのは31例(27%)であった。
多変量解析では、6か月後の肺の線維化様の変化が残存する予測因子として、以下が挙げられています。
- 年齢が50歳以上(オッズ比:8.5、95%信頼区間1.9-38;P = 0.01)
- 入院時の心拍数が100拍/分以上(オッズ比:5.6、95%信頼区間1.1-29;P = 0.04)
- 入院期間が17日以上(オッズ比:5.5、95%信頼区間1.5-21;P = 0.01)
- 急性呼吸窮迫症候群(オッズ比:13、95%信頼区間3.3-55、P < .001)
- 非侵襲的機械換気(オッズ比:6.3、95%信頼区間1.3-30、P = 0.02)
- 初回CT時スコアがの18以上(オッズ比:4.2、95%信頼区間1.2-14、P = 0.02)
<まとめ>
6 ヵ月後のCTでは、重症COVID-19の35%で線維化病変が残存しており、年齢や急性呼吸窮迫症候群、非侵襲的機械換気、初回のCTスコアなどが関連していた。
リンク