2020年12月にヨーロッパから間質性肺炎患者でCOVID-19に感染した場合のリスクが研究され、Am J Respir Crit Care Medに報告されました。
背景と目的
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が間質性肺炎の患者に与える影響は確立されていない。
研究課題:年齢、性別、合併症をマッチさせた集団において、COVID-19のために入院した間質性肺炎患者と間質性肺炎でない患者の転帰を評価する。
方法
2020年3月1日から5月1日の間にヨーロッパの多施設にCOVID-19で入院した患者で、間質性肺炎を基礎疾患にもつ患者を調査。
- ISARIC4C(International Severe Acute Respiratory and Emerging Infection Consortium Coronavirus Clinical Characterisation Consortium)コホートから、同期間にCOVID-19で入院した間質性肺炎のない患者と比較(年齢、性別、合併症でマッチング)
主要転帰は生存率。
二次解析では、特発性肺線維症(IPF)と非特発性肺線維症ILD(non-IPF)を区別し、肺機能を用いて死亡リスクを評価した。
結果
ヨーロッパ全域から349例の間質性肺炎患者を評価し、COVID-19に感染した161例を解析対象とした。ISARIC4Cコホートから年齢、性別、合併症でマッチングした間質性肺炎なしのCOVID-19患者322例を対象群に設定。
間質性肺炎患者でCOVID-19を発症した院内死亡率は49%(79/161)であった。
間質性肺炎患者は、間質性肺炎なしの患者(院内死亡率35%)に比較して、有意に低い生存率であった(ハザード比: 1.60, 95%CI: 1.17-2.18, P = 0.003)。
サブグループ解析
下図A:間質性肺炎なしの患者に比較して、IPFはハザード比: 1.74(95%CI: 1.16–2.60, p=0.007)、non-IPFはハザード比: 1.50 (1.02–2.21, p=0.040)であった。
下図B:肥満の間質性患者では死亡リスクが上昇(ハザード比: 2.27, 95%CI: 1.39-3.71)。
下図C:努力肺活量(FVC)が80%未満の患者は、FVCが80%以上の患者に対して死亡リスクが高い(ハザード比: 1.72, 95CI: 1.05-2.83)。
(図. サブグループ解析。文献より引用掲載)
<まとめ>
間質性肺炎の患者はCOVID-19による死亡リスクが高く、特に肺機能が低下している患者や肥満の患者はそのリスクが高い可能性がある。