肺病変合併のシェーグレン症候群の予後

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シェーグレン症候群に伴う間質性肺炎の予後はどのような報告があるのでしょうか。

シェーグレン症候群と肺病変合併の予後

2013年にはノルウェーから200例を超えるコホートで研究が行われました。

Palm O, et al. Clinical pulmonary involvement in primary Sjogren’s syndrome: prevalence, quality of life and mortality–a retrospective study based on registry data. Rheumatology 2013;52:173–9

対象は、1999年から2010年にノルウェーの膠原病・血管炎コホート(NOSVAR)に登録された216例のシェーグレン症候群の患者。

このうち、肺病変を合併していたのは59例(27%)でした。

  • この研究における肺病変の定義は以下の通りです。
    • 呼吸器症状とHRCTで異常所見(網状影、嚢胞性病変、すりガラス影、蜂巣肺)もしくは呼吸機能障害(FVC、FEV1、DLCO≤75%)を認めること。
  • そのため、間質性肺炎以外の肺病変も含まれている可能性があるため注意が必要です。
  • しかし、肺病変合併の59例のうち、50例でHRCTで異常陰影(網状影22例、嚢胞21例、すりガラス影10例、蜂巣肺3例)が指摘されています。

肺病変のないシェーグレン症候群の予後は

  • 5年生存率は96%
  • 10年生存率は92%

肺病変を合併する場合は

  • 5年生存率は88%
  • 10年死亡率は73%

であり、肺病変合併のシェーグレン症候群は肺病変ない場合よりも予後不良と考えられます。

間質性肺炎の合併症例の予後

シェーグレン症候群関連間質性肺炎のまとまった報告は少ないのですが、日本から2本の論文を紹介します。

①33例のシェーグレン症候群に伴う間質性肺炎

2013年の報告

Enomoto Y, et al. Prognostic factors in interstitial lung disease associated with primary Sjögren’s syndrome: a retrospective analysis of 33 pathologically-proven cases. PLoS One 2013;8:e73774.

  • 対象:33例のシェーグレン症候群に伴う間質性肺炎
  • 全例外科的肺生検を施行
  • 5年生存率87%、10年生存率約70%
  • 画像と病理パターンとして、非特異性間質性肺炎(NSIP)か通常型間質性肺炎(UIP)かで予後は変わらない

②33例のシェーグレン症候群関連間質性肺炎

2005年の報告

Ito I, et al. Pulmonary manifestations of primary Sjogren’s syndrome: a clinical, radiologic, and pathologic study. Am J Respir Crit Care Med 2005;171:632–8.

  • 対象:33例のシェーグレン症候群関連間質性肺炎
  • 年齢56歳、女性82%
  • 31例が外科的肺生検、2例が剖検例
  • 5年生存率84%、10年生存率約60%

これら結果をまとめると、シェーグレン症候群に伴う間質性肺炎の予後は、5年で約85%、10年で約60-70%程度であることがわかります。

<まとめ>

シェーグレン症候群では、肺病変の合併は予後不良であり、特に間質性肺炎の合併は5年生存率が85%程度、10年生存率は約60-70%と考えられる。

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(最終アップデート:2021年12月24日)

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