ANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody)は抗好中球細胞質抗体と呼ばれる自己抗体の総称で、これと関連の深い血管炎をANCA関連血管炎と総称しています。
間質性肺炎において、経過でANCAがどの程度陽性となるかを検討した研究は報告されました。
305例の特発性間質性肺炎(IIP: idiopathic interstitial pneumonia)のうち、診断時にMPO-ANCAが陽性であったのは26例(8.5%)でした。
- 観察期間中央値:3.9年
- 初診時にMPO-ANCA陽性例:16例(5.2%)
- 経過中に289例中10例(3.5%)がMPO-ANCA陽性に変化
(図. 背景図。文献より引用掲載)
MPO-ANCA陽性例でMPA(顕微鏡的多発血管炎)を発症した症例は5年で累計24.3%であった。
- MPO-ANCA陰性例ではMPAの発症はなし
(図. 経年的なMPAの発症率。文献より引用掲載)
<まとめ>
特発性間質性肺炎では、初診時MPO-ANCA陰性例のうち、観察期間3.9年の間に3.5%がMPO-ANCA陽性となった。MPO-ANCA陽性例では、5年累計でMPA発症率は24%であった。