間質性肺炎の検査ではANCAを測定しますが、その臨床的な意義についてはまだわかっていないことは多いです。このANCA陽性の間質性肺炎について、2016年に日本の単施設からの画像所見、病理所見の特徴が報告されました。
対象
ANCA/UIP:ANCA陽性の間質性肺炎(病理UIPパターン)の12例とIPF/UIP:特発性肺線維症(病理UIPパターン)の108例を比較
- 病理UIPパターンは外科的肺生検で診断
- IPF;特発性肺線維症、UIP;通常型間質性肺炎
画像所見
ANCA/UIPはIPF/UIPに比較して、嚢胞周囲の濃度上昇が特徴
- 嚢胞周囲の濃度上昇:ANCA/UIPの42% vs IPF/UIPの7%
病理所見
ANCA/UIPはIPF/UIPに比較して、間質の炎症所見、形質細胞浸潤、肺中心を伴うリンパ濾胞、細気管支炎が多いことが特徴
以下にGrade0(なし)、Grade1(mild)、Grade2(moderate)、Grade3(severe)のうち、Grade2以上の割合を提示
- 間質の炎症所見:ANCA/UIPの100% vs IPF/UIPの7%
- 形質細胞浸潤:ANCA/UIPの92% vs IPF/UIPの5%
- 肺中心を伴うリンパ濾胞:ANCA/UIPの42% vs IPF/UIPの0%
- 細気管支炎:ANCA/UIPの58% vs IPF/UIPの1%
<まとめ>
ANCA関連間質性肺炎は、IPFと比較して、画像では嚢胞周囲の濃度上昇が特徴であり、病理では炎症細胞浸潤やリンパ濾胞が目立つ傾向にある。
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(最終アップデート:2022年1月10日)