サルコイドーシスに対するニコチン治療の効果

喫煙(ニコチン)とサルコイドーシスには深い関係がありますが、今年のCHEST誌にサルコイドーシス患者に対するニコチン治療の研究が報告されています。

Crouser ED, et al. A Pilot Randomized Trial of Transdermal Nicotine for Pulmonary Sarcoidosis. Chest 2021.

 

 

対象

18歳以上の疾患活動性のある肺サルコイドーシスの患者50名

  • アメリカの2施設で行われた二重盲検ランダム化パイロット研究
  • 疾患活動性:症状あり、非陥落性肉芽腫あり、非線維化性の肺病変あり
  • PSL≧10mg/dayもしくはその他薬物治療中(MTX, AZP, TNFα阻害薬など)や喫煙者などは除外

このサルコイドーシス患者50名を、

  • 24週間のニコチン経皮吸収パッチ(21mg)
  • プラセボ

の2群に割付し、26週後の努力肺活量(FVC)の変化(平均値)を比較した(主要評価項目)。

 

結果

26週後の努力肺活量(FVC)は、

  • ニコチン群:+2.1%(+70ml)
  • プラセボ群:-2.4%(-70ml)

の変化を認め、ニコチン群でFVCは少し改善し、プラセボ群よりも140mlほどよい結果となるようです。重篤な副作用も報告されていません。

 

 

今回の結果はあくまで少数例のパイロット研究ですので、その解釈には注意が必要です。

決して、「本研究結果からサルコイドーシスではタバコがいい!」ということにはなりませんので注意してください。

しかし、ニコチンとサルコイドーシスの免疫応答の関係は少しずつ明らかとなっており、今後のさらなる研究が期待されています。

 

 

<まとめ>

サルコイドーシスに対するニコチン治療は忍容性良好で、進行を抑える可能性があるが、さらなる研究を要する。

 

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