COVID-19に対するフルボキサミンの効果とは?(TOGETHER試験

COVID-19の新たな治療薬となりうる薬剤に関する報告です。

 

 

うつ病の患者では、セロトニン量の減少が指摘されています。

フルボキサミンは選択的なセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI; Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)であり、脳内のセロトニン量を上昇させることで、効果を発現する薬剤です。

  • フルボキサミン
  • 商品名:デプロメール錠、ルボックス錠

 

 

COVID-19の病態には免疫の過度な反応が関与している可能性が報告されていますが、このフルボキサミンは、σ-1受容体の活性化を介した抗炎症作用や抗ウイルス作用によるCOVID-19への効果が期待され、今回その臨床試験の結果が報告されました(TOGETHER試験)。

Reis G, et al. Effect of early treatment with fluvoxamine on risk of emergency care and hospitalisation among patients with COVID-19: the TOGETHER randomised, platform clinical trial. Lancet Glob Health 2021.

 

 

 

TOGETHER試験の概要と結果

ブラジルで行われたプラセボ対象無作為化アダプティブプラットフォーム試験であり、フルボキサミン vs プラセボを比較した多施設共同研究。

対象は、COVID-19発症から7日以内のブラジル人の高リスク外来患者(約1500例)

  • フルボキサミン100mg1日2回内服、10日間

 

 

結果

フルボキサミンを投与した患者は、プラセボを投与した患者と比較して、28日以内のCOVID-19関連疾患による医療機関への入院有意に抑制したことが報告されました。

  • 主要アウトカム:救急外来で6時間以上の観察が必要もしくは病状悪化による入院
  • フルボキサミン群 11% vs プラセボ群16%(相対危険度:0.68)
    • 複合主要アウトカムイベントのうち、87%が入院
  • Intention-to-treat解析、per-protocol解析の両方で死亡を有意に低下
    • intention-to-treat解析での死亡:相対危険度は0.69
    • per-protocol解析での死亡:相対危険度は0.34
  • フルボキサミン群とプラセボ群ともに、治療を要する緊急性のある有害事象の発生には有意な差は認められなかった。

 

 

 

<まとめ>

COVID-19と診断された高リスク外来患者に対するフルボキサミンの入院抑制効果が報告された。今後、COVID-19へのフルボキサミンの新たな役割が期待される。

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