MPO-ANCA関連血管炎の肺病変合併率は約50%

ANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody)は抗好中球細胞質抗体と呼ばれる自己抗体の総称で、これと関連の深い血管炎をANCA関連血管炎と総称しています。

このANCAの一つであるMPO-ANCAに関連した血管炎について、日本ではMPO-ANCA関連血管炎に関する重症度別治療プロトコールの有用性を明らかにする前向きコホート研究(JMAAV: Japanese patients with MPO-ANCA-Associated Vasculitis)が実施されました。

このコホート研究から、MPO-ANCA陽性のANCA関連血管炎における肺病変の報告がなされています。

Ozaki S, et al. Severity-based treatment for Japanese patients with MPO-ANCA-associated vasculitis: the JMAAV study. Mod Rheumatol 2012;22:394–404.

結果

対象は、MPO-ANCA陽性のANCA関連血管炎の48例。

  • 平均年齢67歳、男性が35%
  • MPO-ANCAの平均値:423 EU/mL

これら患者のうち、肺病変は22例(46%)に合併していました。

  • 肺病変の定義:限局性の肺胞出血(胸部レントゲンで全肺の30%未満の範囲の出血像)、肺の線維化(胸部レントゲンで全肺の30%以上の線維化像でかつPaO2<60 torrがない)

また治療経過に伴って、MPO-ANCAの値も低下することも示されています。

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図. 治療経過に伴うMPO-ANCAの値の推移、横軸は月(文献より引用)

<まとめ>

日本で実施されたJMAAV研究からの報告では、MPO-ANCA関連血管炎における肺病変の合併率は約50%であった。

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