特発性肺線維症(IPF)の重症度分類の一つに、性別、年齢、肺機能を用いたGAPモデルがあります。GAPモデルに関してはこちらの記事もご覧ください。
これをIPFだけでなく、慢性間質性肺疾患(chronic ILD; chronic interstitial lung disease)にも広く適応できる重症度分類としてILD-GAPモデルが提唱されました。
Ryerson CJ, et al. Predicting survival across chronic interstitial lung disease: the ILD-GAP model. Chest 2014;145:723–8.
ILD-GAPモデルとは
ILD-GAPモデルでは、GAPモデルと同様に、性別、年齢、肺機能として努力肺活量(FVC)と肺拡散能力(DLCO)の値を用いて、合計8点満点で点数化します。
対象疾患は、特発性肺線維症(IPF)、特発性非特異性間質性肺炎(iNSIP)、分類不能型間質性肺疾患(unclassifiable ILD)、膠原病に伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)、慢性過敏性肺炎(chronic HP)ですが、
- CTD-ILD、iNSIP、chronic HPでは合計点から2点減点して計算します。
ILD-GAPモデルの重症度分類
合計点が高いことほど重症度が高く、その点数に応じて、0-1点ならステージⅠ、2-3点ならステージⅡ、4-5点ならステージⅢ、6-8点ならステージⅣというように4段階で重症度を分類します。
IPFのGAPモデルでは3段階でしたので注意が必要です
各重症度毎の予後
男性、高齢、低肺機能であるほど高いステージに分類され、それぞれステージごとの死亡率は以下の通りの結果でした。
- ステージⅠ
- 1年死亡率:3.1%、2年死亡率:6.6%、3年死亡率:10.2%
- ステージⅡ
- 1年死亡率:8.8%、2年死亡率:18.0%、3年死亡率:26.9%
- ステージⅢ
- 1年死亡率:18.2%、2年死亡率:35.0%、3年死亡率:49.2%
- ステージⅣ
- 1年死亡率:33.5%、2年死亡率:58.4%、3年死亡率:74.8%
特発性肺線維症(IPF)だけでなく、慢性間質性肺疾患においても、このILD-GAPモデルを用いて重症度を分類することがあります。
慢性間質性肺疾患の重症度分類の一つにILD-GAPモデルがあります。性別、年齢、肺機能を用いて8点満点で点数化し、点数に応じで4段階で分類しています。