気管支喘息の治療の一つに気管支サーモプラスティ(BT; bronchial thermoplasty)があります。
気管支サーモプラスティは、重症喘息を治療するための気管支鏡下の手技の一つであり、高周波電流により気管支壁を加熱することで、気管支平滑筋を減少させ、喘息発作を抑える効果が期待されています。
今回、この気管支サーモプラスティを行った患者の長期的な観察データをまとめた研究がLancet Respir Medに報告されました。
この研究では、気管支サーモプラスティの過去の3つの試験(AIR trial、AIR2 trial、RISA trial)に登録された患者を対象に、10年以上の観察期間を経て、気管支サーモプラスティの効果と安全性を調査しています。
結果
対象と観察期間
気管支サーモプラスティを施行した260例のうち5年後のフォローができたのが216例、さらにその後10年後のフォローができた136例を対象
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- 5年→10年で63例が除外(注意):44例:フォロー困難、16例:同意なし、3例:死亡
観察期間中央値:12.1年(10.8-15.6年)
気管支サーモプラスティ施行10年後の結果
気管支サーモプラスティを行った10年後でも、
- 重症の喘息発作の頻度
- QOLや喘息のコントロール状態
- AQLQ; asthma QOL questionnaire
- ACT; asthma Control Questionnaire
- 肺機能
において、気管支サーモプラスティ施行1年後、5年後と比較して変わらない結果であった。
懸念された気管支拡張症は?
さらに、気管支サーモプラスティ時にCTで気管支拡張を認めなかった89例のうち、新たに気管支拡張を認めたのは6例(7%、mild 5例、moderate 1例)であった。
<まとめ>
気管支サーモプラスティを施行したのち、10年の経過をみても、喘息発作の頻度やQOL、肺機能が維持できていることが明らかとなった。さらにCTで新たに気管支拡張を認めたのは全体の7%程度であった。