急性増悪は特発性肺線維症(IPF)で報告され、2016年には国際ワーキンググループからその定義や診断基準の改定案が報告されました。
しかし、IPF以外の間質性肺炎でのその頻度や予後はわかっていません。
2020年にIPFとIPF以外の間質性肺炎との、急性増悪の頻度と予後を調べた研究が日本の単施設から報告されました。
急性増悪発症のリスク因子
- 特発性肺線維症(IPF)であること(vs IPF, HR 0.453)
- 肺機能が悪いこと
- 努力肺活量(FVC)低値(per10%, HR 0.882)
- 肺拡散能力(DLCO)低値(per10%, HR 0.899)
- 動脈血酸素分圧(PaO2)低値(HR 0.983)
急性増悪後の予後
急性増悪のハザード比(HR)は、
- 特発性肺線維症(IPF):HR 1.868 (95%CI: 1.378-2.533)
- その他間質性肺炎:HR 3.596 (95%CI: 2.409-5.369)
と特発性肺線維症(IPF)以外の間質性肺炎でも極めて予後不良な病態です。
さらに、急性増悪発症後の生存曲線は以下の通りですが、急性増悪の生存への影響は極めて大きいことがわかります。
図. 特発性肺線維症(IPF)とその他間質性肺炎(FILD)の両群における急性増悪(AE)の有無での生存曲線(文献より転載)
<まとめ>
急性増悪は特発性肺線維症(IPF)以外の間質性肺炎でも発症しうる予後不良な病態であり、低肺機能や酸素化不良は発症の危険因子である。