在宅酸素療法はどのような患者にすすめるべきか、2020年ATSガイドラインから参照②

2020年にアメリカ胸部医学会(ATS)から在宅酸素療法についてのガイドラインが提唱されました。

Jacobs SS, et al. Home Oxygen Therapy for Adults with Chronic Lung Disease. An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med 2020;202:e121–41.

間質性肺炎に関しては、以下の2つの項目について解説されています。

  • 安静時に重度の低酸素がある場合、在宅酸素療法は勧められるか。
  • 労作時に重度の低酸素がある場合、労作時のみの酸素療法は勧められるか。

本日は、この項目②について解説します。

労作時に重度の低酸素がある場合、労作時のみの酸素療法は勧められるか。

間質性肺炎の患者では、安静時の酸素状態は良好でも、労作時のみ低酸素となる場合が多くあります。

日常生活で動いたときにのみ低酸素となっていても、それが慢性的に変化が起こってしまうと、まったく症状に現れず気づかれないことは多く経験します。

検査としては、6分間歩行試験を行うことで、患者の労作時にどの程度酸素化が悪化しているかの指標とします。

また、外来患者では、24時間のSpO2モニタリングを行うことで、実際に実生活でどの程度、低酸素状態となっているか詳しく調べることも多いです。

しかし、実はこの労作時の低酸素状態のみに対して、酸素投与をしたほうがよいかについては結論は出ていません。

エビデンスという意味でも不足しており、過去にランダム化比較試験も行われていないのが現状です。

このような患者に酸素投与を行うべきか、ATSでは以下のようにコメントされています。

ATSの推奨

  • 労作時のみ酸素療法を処方する
    • conditional recommendation(条件付き推奨)
    • low-quality evidence

労作時のみ重度の低酸素血症がある場合、酸素投与をしたほうがよいのかどうか、悩む患者は多いのが実際です。

これは個人の見解ですが、酸素投与による何らかのメリットがある場合、つまりQOLの改善につながるような場合には処方を提案しています。

<まとめ>

間質性肺炎患者で労作時のみ重度の低酸素がある場合、条件付きで労作時のみ酸素療法をすすめる。しかし、その根拠は乏しく、今後の検証は必要である。

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