リジン尿性蛋白不耐症に伴う肺合併症について解説

リジン尿性蛋白不耐症という病気をご存じでしょうか。前

多彩な症状を呈するといわれていますが、肺の合併症として、間質性肺炎が指摘されています。

2015年にフランスから14例のリジン尿性蛋白不耐症をまとめた研究が報告されました。

Valimahamed-Mitha S, et al. Lung involvement in children with lysinuric protein intolerance. J Inherit Metab Dis 2015;38:257–63.

リジン尿性蛋白不耐症の診断年齢中央値は生後9か月。

最長で35歳まで観察された症例を含む14例のリジン尿性蛋白不耐症の患者のうち、10例(71%、診断年齢中央値は3歳)で肺合併症を認めたようです。

胸部CT検査は7例に施行し、全例で間質影を認め、4例で線維化を認めています。

診断時もしくは経過中に全例が気管支肺胞洗浄を行い、全例で肺胞蛋白症の診断。

(8例は気管支肺胞洗浄で診断、2例は気管支肺胞洗浄では所見がないものの生検で診断)

肺病理組織は4例で採取(1例が外科的肺生検、2例が気管支鏡、1例が剖検)し、全例で肺胞蛋白症と2例で肺の線維化を認めていました。

肺合併症の診断時の症状は、

  • 急性の呼吸器症状:5例
  • 慢性経過:3例
  • 無症状:2例

であったようです。

この報告からは長期的な観察例に関して記載はありませんでした(最長35歳)。

私自身、リジン尿性蛋白不耐症が原因となった間質性肺炎の方にはまだお会いしたことがありません。とても稀な疾患ではありますが、知識として蓄えておく必要がありそうです。

<まとめ>

  • リジン尿性蛋白不耐症の約70%で肺合併症を認める
  • 肺合併症の診断年齢中央値は3歳
  • 肺合併症は全例で肺胞蛋白症あり
  • 肺合併症のおよそ半数で肺の線維化を呈する可能性がある
  • ただし少数例の報告なので注意は必要
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