特発性肺線維症(IPF)の重症度分類は、
- 安静時の動脈血液ガス検査の酸素濃度(安静時動脈血酸素分圧)
- 6分間歩行試験時の酸素濃度(SpO2)
でⅠからⅣの4段階で定められています。
この重症度の問題として、安静時の酸素濃度を測定するために、動脈血液ガス検査が必要です。
動脈血液ガス検査でえられる動脈血は血中の酸素濃度がしっかりわかりますので、非常に重要な検査です。
しかし、採血時の痛みが強く、時に神経損傷をきたす場合もあり、静脈採血と異なり、医師による施行が必要です。
そこで、安静時の酸素濃度の指標として、動脈血液ガス検査ではなく、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を用いた重症度(案)が提案されました。
これはPulse Oximetry Saturation(POS)staging systemとして、
- 安静時の酸素濃度(SpO2)
- 6分間歩行試験時の酸素濃度(SpO2)
を用いてⅠからⅢの3段階で定められています。
これにより従来の重症度分類よりも、POS staging systemの方が予後がしっかり層別化される可能性を報告しています(C-statistics=0.673)。
各群のハザード比、1年死亡率、3年死亡率、5年死亡率は以下の通りです。
- 1年死亡率:StageⅠ 0%、StageⅡ 6.5%、StageⅢ 14.3%
- 3年死亡率:StageⅠ 5.2%、StageⅡ 22.1%、StageⅢ 35.4%
- 5年死亡率:StageⅠ 14.0%、StageⅡ 41.8%、StageⅢ 72.2%