全身性強皮症に伴う間質性肺炎では、初診時のKL-6が1273 U/mlを超えると間質性肺炎が進行する危険性があることは報告されました(⇒「全身性強皮症に伴う間質性肺炎の進展リスク:KL-6>1273U/ml」)。
その他にイギリスからも、全身性強皮症(Systemic sclerosis; SSc)の患者307例を対象とし、KL-6と疾患進行の関係を研究した報告が2021年に報告されています。
患者背景は以下の通りです。
- 後ろ向きコホート n=189と前向きコホート n=118例
- 間質性肺炎合併は260例(85%)
- 努力肺活量(FVC)は70-80%程度、肺拡散能力(DLCO)は40-55%程度
- 観察期間は後ろ向きが8.4年、前向きが2.8年
<結果>
後ろ向きコホート、前向きコホートの両群で間質性肺炎の重症度(no ILD < limited ILD < extensive ILD)が上昇するにつれ、KL-6の値も上昇するようです。
また、KL-6の値は、その後の肺機能の推移について、後ろ向きコホートでは努力肺活量(FVC)の低下と肺拡散能力(DLCO)の低下と、前向きコホートでは肺拡散能力(DLCO)の低下と有意に関係していたことも報告されています。
さらに、KL-6の値が1472U/mlを超えると、その後の2年間で肺拡散能力(DLCO)が15%以上低下することを予測しうることを報告しています(感度42%、特異度81%)。
この研究の結果から、KL-6の値は、
- 間質性肺炎の重症度を反映し、
- その後の肺拡散能力(DLCO)の低下を予測する
バイオマーカーである可能性が指摘されました。