膠原病の肺病理:線維芽細胞巣の量的検討

関節リウマチに伴う間質性肺炎の病理所見で、特にUIP(通常型間質性肺炎)パターンの特徴は前回の記事でまとめました。UIPパターンといっても、特発性肺線維症(IPF)で認めるようなUIPパターンとは少し異なる可能性があります。

線維芽細胞巣は病理UIPの特徴の一つであり、主として筋線維芽細胞からなる所見です。特に肺の線維化がまさに進行している部位に認めうると考えられています。

病理学的にはこのような所見です(アスタリスクの部分)。

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Raghu G, et al. An official ATS/ERS/JRS/ALAT statement: idiopathic pulmonary fibrosis: evidence-based guidelines for diagnosis and management. Am J Respir Crit Care Med 2011;183:788–824.

この線維芽細胞巣の量を、膠原病に伴う間質性肺炎と特発性肺線維症(IPF)で比較した研究が2006年に報告されています。

Enomoto N, et al. Quantitative analysis of fibroblastic foci in usual interstitial pneumonia. Chest 2006;130:22–9.

対象は、膠原病に伴う間質性肺炎の15例と特発性肺線維症の16例です。いずれも病理学的にUIP所見を有しています。

(膠原病15例の内訳は、シェーグレン症候群が5例、関節リウマチが4例、全身性強皮症が2例、皮膚筋炎が2例、全身性エリテマトーデスとシェーグレン症候群の合併が1例、関節リウマチと皮膚筋炎の合併が1例。)

結果ですが、特発性肺線維症(IPF)に比較して、膠原病に伴う間質性肺炎では線維芽細胞巣は有意に少ない傾向にあったようです。

病理学的なUIP所見を有する膠原病に伴う間質性肺炎は、特発性肺線維症(IPF)とは線維芽細胞巣の量が異なる可能性があります。

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