本日は間質性肺炎ではなく、慢性閉塞性肺疾患(COPD; chronic obstructive pulmonary disease)に関する報告です。
COPDとは、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生ずる肺疾患です。時に感染などにより増悪することが知られ、呼吸困難などを生じて入院、時に人工呼吸器管理が必要となることがあります。
COPD増悪と急性呼吸不全で入院した患者を対象に、院内死亡の予測因子を検討した研究が報告されました。
対象は489例の非侵襲的人工呼吸器管理や挿管管理を要したCOPD増悪患者です。本コホートの院内死亡率は25.4%でした。(733例、院内死亡率20.1%のコホートで妥当性を検討しています。)
eMRCDスコア、入院からアシデミアを呈するまでの時間が12時間以上、pH < 7.25、心房細動あり、GCSが14点以下、胸部画像で浸潤影あり、の6つの因子を用いることで院内死亡率を予測するスコアリングシステム(NIVO score)が提唱されました。
eMRCD score; extended Medical Research Council Dyspnoea score, GCS; Glasgow coma scale, NIVO score; noninvasive ventilation outcomes score
各項目を満たした場合、
- eMRCDスコア 5a:2点、5b:3点
- 入院からアシデミアを呈するまでの時間が12時間以上:2点
- pH < 7.25:1点
- 心房細動あり:1点
- GCSが14点以下:1点
- 胸部画像で浸潤影あり:1点
の合計9点満点で点数化しています。結果は以下の図の通りとなりました。
ROC曲線のAUCは0.79でした。これまでの死亡予測スコアであるAPACHEⅡやCURB-65などより、院内死亡をしっかり予測できたようです。
ややコホートとしての死亡率が高い印象はありますが、本研究結果からは、COPD増悪で入院し非侵襲的人工呼吸器管理や挿管管理を要した患者に対し、NIVOスコアは院内死亡率を予測するよいスコアリングシステムであることがわかりました。