新型コロナウイルス感染後の持続する呼吸困難:メカニズム

新型コロナウイルス感染後の持続する症状(いわゆる後遺症)は様々ありますが、息切れを自覚することもあるようです。例えばイタリアからの報告では、発症60日時点で43%の方が呼吸困難を自覚されていました。

なぜこのような呼吸困難が持続するのか。

そのメカニズムは明らかではなく、仮説の域はでていません。たとえば2021年7月にBMJという医学雑誌に掲載されたレビューからの引用では、持続する呼吸困難のメカニズムは以下の通り記載されています。

  1. 慢性的な炎症が起こることで、炎症誘発性サイトカインと活性酸素種の持続的な産生が起こり、周囲の組織や血液中に誘導される。
  2. 内皮障害により線維芽細胞が活性化され、膠原繊維やフィブロネクチンが沈着し、線維化が起こる。
  3. 内皮障害、補体や血小板の活性化、血小板/白血球炎症性相互作用、炎症誘発性サイトカインの放出、凝固経路の異常、低酸素血症が過剰な炎症や凝固状態を遷延させ、血栓症のリスクを増加させる。

Crook H, et al. Long covid-mechanisms, risk factors, and management. BMJ 2021;374:n1648.

ここでは概要の説明にとどまりますが、つまり、新型コロナウイルス感染により持続的な肺の炎症が起こり、その結果として肺の線維化や血栓症が惹起されることで、息切れの症状が持続する可能性が示唆されています。

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