新型コロナウイルスに感染した後に経験しうる様々な症状について、過去の記事で報告をさせていただきました。報告によってその頻度は極めて変動することがわかるかと思います。
しかし、どのような方が症状が持続しやすいのか、実はまだあまりわかっていません。その疑問の答えとして、2021年にNature Medicineという雑誌から一つの研究結果が報告されました。
Sudre CH, et al. Attributes and predictors of long COVID. Nat Med 2021;27:626–31.
対象は4182例の新型コロナウイルス感染症患者で、28日以後も症状が持続しうるリスク因子について検討しています。大部分がイギリス(88%)の患者で、そのほかにアメリカやスウェーデンの患者が含まれていました。
本研究では28日以後も症状が持続していたのは558例(13.3%)でした。特に高齢者、女性は28日以降も症状が持続する傾向にあったようです。
28日以降も持続する症状の関係は下図のようになり、様々な症状を同時に自覚しうることがわかります。
そして、この研究の主たる結果ですが、28日以降も症状が持続することを最もよく予測しうる因子は、発症1週間以内に5つ以上の症状を自覚していること (オッズ比3.95、95%信頼区間:3.10–5.04)でした。
症状ごとにみると、発症1週間以内の倦怠感、息切れ、嗄声(声のかれ)、筋肉痛を自覚している患者は、28日以降も症状が持続しやすい傾向にあったようです。これら傾向は男女の性差なくみられています。
70歳以上の患者のみでみると、嗅覚障害が最も28日以降も症状が持続するリスク因子であったようです (オッズ比7.35、95%信頼区間:1.58–34.22)。
この研究結果からは、発症1週間以内に多くの症状を自覚すると、1か月時点でも何らかの症状が持続する可能性があり、より注意深く経過をみる必要がありそうです。