新型コロナ感染後の経過に関する中国の報告の続きです。
前回と重なりますが、本研究の患者背景は、年齢の中央値は57歳、男性が52%、観察期間は約6か月程度です。入院中に全体の68%が酸素投与を必要とし、7%が高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)や人工呼吸器管理を要しています。
今回、新型コロナの重症度を以下の通り7段階に分類しました。
scale1:入院なし、普段通りの生活の再開が可能
scale2:入院なし、普段通りの生活の再開が困難
scale3:入院したが、酸素投与は不要
scale4:入院し、酸素投与が必要
scale5:入院し、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)や非侵襲的人工呼吸器管理が必要
scale6:入院し、挿管管理や体外式膜型人工肺(ECMO)が必要
scale7:死亡
(日本の基準では、scale1-2が軽症相当、scale3-4が中等症相当、scale5-7が重症相当と思われます。)
それぞれ患者数は、scale3が439例、scale4が1172例、scale5-6が122例でした。
以下に今回の研究結果の続きを記載します。
<発症6か月時点の胸部CT検査>
胸部CT検査を施行した症例は、scale3が95例、scale4が163例、scale5-6が95例でした。
胸部CTで肺野に何らかの異常を認めた患者の割合は、全体の53%であり重症度別には、
- scale3:52%
- scale4:54%
- scale5-6:54%
の結果です。
CT scoreはそれぞれ3.0、4.0、5.0であり、重症例(scale5-6)で有意に高い傾向にありました。しかし、全体としての残存する肺病変はかなり限局的な所見であったようです。
<CT scoreとは、各肺葉の病変部位を0点(病変なし)、1点(病変が5%未満)、2点(病変が5-25%)、3点点(病変が26-50%)、4点(病変が51-75%)、5点(病変が75%以上)で点数化し、それを合計した点数(25点満点)で表示したものです。>
<発症6か月時点の肺活量>
肺機能検査を施行した症例は、scale3が89例、scale4が172例、scale5-6が88例でした。
拘束性障害(努力肺活量(FVC)が80%未満)を認めた割合は全体の4%であり、重症度別にはそれぞれscale3が3%、scale4が1%、scale5が11%でした。
また、拡散能障害(肺拡散能力(DLCO)が80%未満)を認めた割合は全体の34%であり、重症度別にはそれぞれscale3が22%、scale4が29%、scale5が56%であり、重症例(scale5-6)で拡散能障害は有意に多い傾向にありました。
<発症6か月時点の6分間歩行試験>
6分間歩行試験での歩行距離は、全体の中央値が495mでした。
scale3(495m)に比較してscale5-6(479m)の患者さんは、6分間報試験での歩行距離がすこし短い傾向にあったようです。