過敏性肺炎は、微生物、真菌、動物由来のタンパク、無機物などの抗原を繰り返し吸入することで生じる間質性肺炎と考えられています。過敏性肺炎の治療では、その抗原からの回避がとても大切であり、様々な抗原の有無を調べるため、多くのお話を伺います。
これまで多くの原因となりうる抗原が議論されてきました。しかし問診ですべての抗原曝露の有無を徴することは困難であり、医師によってもばらつきがあります。
今回、過敏性肺炎の原因となり得る抗原のうち、問診で聴取すべき抗原曝露のエピソードを、世界中の36名の専門医にアンケートをとった結果が報告されました(デルファイ法)。
最終的に以下の項目が重要と考えられたようです。
- 水害や洪水、貯留水
- カビの生えた干し草、サイレージ、カビの生えた木
- 目でわかったり匂いのするカビ
- 加湿器やエアコン
- ホットタブ、プール、温泉
- 有機物(肥料、堆肥)
- 微生物粒子状物質植物、動物性たんぱく質化学薬品
- 楽器
- トリ、トリの糞や羽
- ダウンや羽毛製品
- 農業、野菜生産、食糧生産
- おがくず
- イソシアネート
- 金属加工液
- 蒸気、ガス、煙
(訳に誤りがあればご連絡ください)
さらに
- これら抗原に曝露したタイミングと症状出現の関係
- 抗原回避後の症状の改善
などは抗原曝露の可能性を高めるかもしれないと考えている一方、
- ステロイドへの反応性
- 職場や家族環境、同様の環境で他の人が同じ曝露後に同様の症状を経験するか
はあまり重要視されていないようです。
また、抗原曝露の期間は重要と考えているものの、
- どの程度の期間の曝露が最低限必要なのか
- 曝露の濃度はどうか
などはまだわかっていない状況です。
過敏性肺炎の診断をより明確にするためにも、個々の詳細な問診は必要ですが、均一化のためにも共通の問診表の作成は今後の課題です。