抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の標準治療の一つに、
高用量ステロイドとシクロホスファミドまたはリツキシマブの併用療法がありますが、
高い寛解率を示す一方で、副作用が多いのが懸念でした。
そこで今回、低用量ステロイドとリツキシマブの併用レジメンを、標準治療(高用量ステロイドとリツキシマブ併用レジメン)との有効性と副作用を比較した研究が報告されました。
デザイン:第4相多施設共同非盲検無作為化非劣勢試験
対象:20歳以上のANCA関連血管炎(新規診断)140例、ANCA陽性
除外:eGFR<15ml/minの糸球体腎炎や2L/min以上の酸素投与が必要な肺胞出血、過去6か月以内にリツキシマブやベリムマブなど使用歴あり、など
介入:低用量ステロイド(PSL0.5mg/kg/day)+RTX375mg/m2/w×4
対象:高用量ステロイド(PSL1.0mg/kg/day)+RTX375mg/m2/w×4
結果:
6か月後の寛解率は
- 低用量ステロイド群:71%
- 高用量ステロイド群:69%
であり、両群に差はありませんでした(非劣性)。
重篤な有害事象は
- 低用量ステロイド群:19%
- 高用量ステロイド群:37%
であり、特に重篤な感染症は低用量ステロイド群で7%、高用量ステロイド群で20%であった。
重症の糸球体腎炎や肺胞出血を伴わないANCA関連血管炎の新規診断患者において、
低用量ステロイドとリツキシマブ併用療法は、
高用量ステロイドとリツキシマブ併用療法に比べて、
6か月後の寛解率は劣らない結果でした。
リツキシマブを併用することで、これまでよりステロイド量が減量できる可能性に期待しています。