間質性肺炎の新たな治療戦略:進行性に線維化が悪化するフェノタイプ

特発性肺線維症(IPF)は慢性的に進行する疾患であり、生存期間中央値は診断後2-5年で、治療薬には抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)が選択されます。

それでは、特発性肺線維症以外の間質性肺炎の経過はどうでしょうか。

間質性肺炎には、環境が原因となる過敏性肺炎、関節リウマチや強皮症などの膠原病が原因となる膠原病関連間質性肺炎など、様々な原因で起こる多くの疾患が含まれます。

その様々な疾患の予後を考えると、疾患の背景や原因によって報告は多岐にわたり、その経過の多様さが伺えます。例えば、日本からの研究結果を参考にすると、特発性肺線維症以外の間質性肺炎の5年死亡率はおおむね20-50%程度と報告されています。
Takei R, et al. Prevalence and prognosis of chronic fibrosing interstitial lung diseases with a progressive phenotype. Respirology 2022.

この報告からもわかるように、様々な間質性肺炎で、ある一定の割合で線維化が悪化し、予後不良な経過をたどる一群が存在します。しかし、これまでそのような線維化が進行性に悪化する病態に関しては経過をみるほかありませんでした。

ところが、今回、進行性に線維化が悪化する一群(進行性線維化を伴う間質性肺疾患:PF-ILD)に対するニンテダニブの疾患進行抑制効果が報告され、現在注目されています(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。

様々な間質性肺炎で一部に線維化が進行する患者さんがいて、そのような病態を進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)と呼んでいます。

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