急性増悪の予後とACP(アドバンス・ケア・プランニング)

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急性増悪の治療には、現時点で有効性の確立した治療法はありませんが、日本ではステロイドパルス療法免疫抑制剤の治療が行われることは多いです。

急性増悪発症後の予後は極めて不良であり、2016年に発行された特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き 改訂第3版を参考にすると、

  • 平均生存期間は1.3か月
  • 死亡率50%程度

といわれています。

また、2020年に日本から報告されたリコモジュリン®の治験の結果では、90日生存率は81%の結果でしたが、対象はあくまで治験参加者であり注意は必要です。

急性増悪では、多くの患者さんが呼吸不全を呈します。通常の酸素投与では不十分なことも多く、その際には人工呼吸器管理の適応を考えなければなりません。

しかし、特発性肺線維症(IPF)患者の呼吸不全に対する人工呼吸器管理に関して、国際ガイドラインでは、

「人工呼吸器管理は大多数の患者に対しては決して勧められないが、少数の患者では行ってもよいかもしれない」とされています。

Raghu G, et al. An official ATS/ERS/JRS/ALAT statement: idiopathic pulmonary fibrosis: evidence-based guidelines for diagnosis and management. Am J Respir Crit Care Med 2011;183:788–824.

また、マスク型の人工呼吸器である非侵襲的陽圧人工呼吸(NPPV)については検討すべき呼吸管理手段であり、忍容性がよい場合には用いられることもあります。

人工呼吸器管理を行うかどうかの意思決定はとても慎重な判断が必要であり、できれば安定期にアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を相談しておくことが大切です。

しかしなかなか難しいことも多く、ACPが定まっていない場合には、患者や家族と可能な限り相談し、方針を決定する必要があります。

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(最終アップデート:2022年04月02日)

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