新型コロナ:発症後の心肺機能の経過

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症後の心肺機能の経過について、

オーストリアから多施設観察研究の報告です。

Sonnweber T, et al. Cardiopulmonary recovery after COVID-19: an observational prospective multicentre trial. Eur Respir J 2021;57 

対象は145例のCOVID-19、主に発症100日目の経過を評価しています。

結果は以下の通りです。

<発症100日目の症状>

  • 症状がある患者は全体の41%
  • 主な症状は、呼吸困難、咳嗽、睡眠障害など

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<発症100日目の胸部CT検査>

  • 何らかの異常所見を認めた患者は全体の63%
  • すりガラス影や網状影が主体

<発症100日目の肺機能>

  • 肺機能障害がある患者は全体の36%
  • 拘束性障害(努力肺活量(FVC)<80%)は全体の22%
  • 閉塞性障害(一秒量/FVC<70%)は全体の8%
  • 拡散能障害(DLCO<80%)は全体の11%

<発症100日目の心機能>

  • 心機能障害はごく少数
  • 心エコー検査で左室駆出率低下は3%

 

重要な点として、発症後60日、100日で経時的な変化をみた際に、症状、CT所見、肺機能はいずれも改善傾向でした。

また、COVID-19発症前の症状や心肺機能は不明であり、すべてがCOVID-19による変化かどうかは不明である点は注意が必要です。

 

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