特発性肺線維症の胸部CT所見は、胸膜直下の分布と網状影が特徴で、典型的には蜂巣肺を呈します。下図はどちらも胸膜直下の網状影を認める特発性肺線維症の画像ですが、左は蜂巣肺あり、右は蜂巣肺なしの画像です。

上記画像のように典型的であればわかりますが、なかなか蜂巣肺の有無を判断することが難しいことも多いのが実際です。
例えばこれは、特発性肺線維症に対する抗線維化薬であるニンテダニブ(商品名:オフェブ)の試験から引用した画像ですが、AとBのどちらが蜂巣肺の画像かわかりますでしょうか。

答えは、
- Aが蜂巣肺あり
- Bが蜂巣肺なし(網状影+牽引性気管支拡張)
の画像です。
いかがでしょうか。なかなか両群の分類が難しいことを実感頂けるかもしれません。
2017年に特発性肺線維症(IPF)に対するオフェブの試験であるINPULSIS試験のサブグループ解析が報告されました。
この試験のサブグループ解析では、
蜂巣肺あり(実線)
vs
網状影+牽引性気管支拡張(蜂巣肺なし)(点線)
の二群に分類し治療効果を比較していますが、ニンテダニブ使用群(濃い青)とプラセボ使用群(薄い青)ともに蜂巣肺の有無によらず同様の経過を示すことが報告されています。

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ニンテダニブの臨床試験②「INPULSIS試験」 | 呼吸器内科専門医の間質性肺炎ブログ
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