間質性肺炎では進行性に線維化が進行する一群が報告されており、近年ではPPF(progressive pulmonary fibrosis)と呼ばれ注目されています。
今回、気管支肺胞洗浄液の細胞分画と胸部CT所見を組み合わせた解析から、肺の線維化が進行する一群を予測する研究結果が報告されました。
Barnett JL, Maher TM, Quint JK, Adamson A, Wu Z, Smith DJF, et al. Combination of Bronchoalveolar Lavage and CT Differentiates Progressive and Non-Progressive Fibrotic Lung Diseases. Am J Respir Crit Care Med 2023.
BALでリンパ球が25%以上の高値であり、胸部画像でUIPパターンがなく線維化の範囲も20%未満の患者では、疾患進行のリスクが低いことが明らかとなりました。
さらに詳しく解説(専門的な内容です)
背景
肺線維症(PF)の進行リスクが高い患者を特定することで、治療戦略が明確になる。baselineでのBALFとCTの組み合わせの有用性を、進行性と非進行性のPFで比較する。
方法
導出コホートは、診断の一環としてBALが実施されたPFの新規症例で構成。確認コホートは、同一の選定基準で前向きに募集した。baselineの胸部CTは、線維化の範囲とUIPパターンで評価し、BALのリンパ球比率を解析した。
疾患進行の定義:一年以内の努力性肺活量(FVC)の10%以上の低下または死亡
結果
BALのリンパ球比率、UIPパターン、および線維化の広がりが、導出コホート(n=240人)で疾患進行と有意かつ独立して関連していた。
BALのリンパ球比率と線維化の広がり閾値が、それぞれ25%と20%として特定された。
BALのリンパ球比率高値は、UIPパターン(8/135[5.9%])または広範な線維化(7/144[4.9%])ではまれであった。
確認コホート(n=290人)では、線維化が広範でないか、UIPパターンでない患者で、BALのリンパ球比率が高いと、疾患進行の確率が有意に低かった。
結語
BALリンパ球増加は、CTで広範な線維化またはUIPパターンを持つ患者では稀であった。UIPパターンを持たない患者や、線維化が限定的な患者で、BALのリンパ球比率が≥25%であれば、進行の可能性が低いことが明らかとなった。