TRAIL1:関節リウマチ関連間質性肺疾患に対するピルフェニドン(第Ⅱ相試験)

関節リウマチに伴う間質性肺炎に対して、ピルフェニドンの有効性と安全性を評価した第Ⅱ相試験が報告されました。

患者が集まらず、また主要評価項目は達成されませんでしたが、各結果は一見の価値ありと思います。主要評価項目が厳しすぎたのでしょうか。今後第Ⅲ相試験が行われるかどうか、期待されます。

Solomon JJ, TRAIL1 Network Investigators, et al. Safety, tolerability, and efficacy of pirfenidone in patients with rheumatoid arthritis-associated interstitial lung disease: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 study. Lancet Respir Med 2023;11:87–96.

一言解説

関節リウマチに伴う間質性肺炎に対するピルフェニドンの第Ⅱ相試験が報告され、主要評価項目は満たさなかった。その他の結果を加味して、今後第Ⅲ相試験が行われるかどうか、期待される。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

背景

間質性肺疾患は、関節リウマチの合併症として知られており、個人における生涯発症リスクは7.7%とされている。

研究目的:関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)患者に対するpirfenidoneの安全性、忍容性、有効性を評価すること。

方法

このTRAIL1(the treatment fro rheumatoid arthritis and interstitial lung disease 1)は、4カ国(英国、米国、オーストラリア、カナダ)の間質性肺疾患を専門とする34の学術施設で行われた無作為化、二重盲検、プラセボ対照の第2相試験である。

18~85歳の成人を対象に、2010年の米国リウマチ学会および欧州リウマチ学会連合の関節リウマチの基準を満たし、HRCTスキャン画像検査で間質性肺疾患が認められ、可能であれば肺生検が行われた場合に組み入れることができ。

除外基準:喫煙、間質性肺疾患の他の既知の原因あり、COPDまたは喘息の併存など

患者は、1日2403mgの経口ピルフェニドン投与群(ピルフェニドン群)またはプラセボ投与群(プラセボ群)に無作為に割り付けられた(1:1)。

主要評価項目:intention-to-treat集団で評価した52週間の治療期間中に、ベースラインからの予測値に対する努力肺活量(%FVC)の10%以上の低下または死亡という複合エンドポイントの発生率。

主要な副次評価項目:intention-to-treat集団において、52週間における%FVCの絶対値の変化、FVC%が10%以上低下した患者の割合、OMERACT(Outcome Measures in Rheumatoid Arthritis Clinical Trials)による進行の頻度など。

本試験は ClinicalTrials.gov, NCT02808871 に登録されている。

結果

2017年5月15日から2020年3月31日までに、231名の患者さんを対象として評価を行い、そのうち123名の患者さんを無作為に割り付けた(ピルフェニドン群63名[51%]、プラセボ群60名[49%])。

  • 本試験は、募集の遅れとCOVID-19の大流行により、早期(2020年3月31日)に中止された。

複合主要評価項目(ベースラインからのFVC%低下10%以上または死亡)を満たした患者の割合の両群間の差は有意ではなかった(ピルフェニドン群63例中7例[11%] vs プラセボ群60例中9例[15%]; OR 0.67[95% CI 0.22~2.03]; p=0.48 )。

  • プラセボ群と比較して、ピルフェニドン群では肺機能の低下速度が遅く、FVC絶対値の推定年間変化量(-66 vs -146、p=0.0082)および%FVC(-1.02 vs -3.21、p=0.0028)であった。
  • %FVC%の10%以上の減少(ピルフェニドン群5人[8%] 対 プラセボ群7人[12%]、OR 0.52 [95% CI 0.14-1.90]; p=0.32)およびOMERACTで定義された進行の頻度(ピルフェニドン群16 [25%] 対 プラセボ群19 [32%]; OR 0.60 [0.30-1,54]; p=0.35)について両群間で同様であった。
  • 治療上問題となる重篤な有害事象の発生率は両群間に有意差はなく、治療に関連した死亡例はなかった。

<まとめ>

本試験は早期に中止され、またパワー不足であったため、結果の解釈には注意が必要。

複合主要評価項目は達成されなかった。

しかし、ピルフェニドンはRA-ILD患者のFVCの経時的な減少速度を減速させ、安全性も他のピルフェニドン試験で認められたものと同様であった。

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