アバコパン ADVOCATE試験(日本人のサブグループ解析)

抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎に分類される顕微鏡的多発血管炎(MPA)、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)に対し、C5a受容体拮抗作用が期待されるアバコパンですが、ADVOCATE試験の日本人のサブグループ解析が報告されました。
Harigai M, Kaname S, Tamura N, Dobashi H, Kubono S, Yoshida T. Efficacy and safety of avacopan in Japanese patients with antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis: A subanalysis of a randomized Phase 3 study. Mod Rheumatol 2023;33:338–345.

今回のADVOCATE試験のサブグループ解析により、日本人のANCA関連血管炎患者さんにおいて、アバコパンは漸減型プレドニゾンと同等の有効性と安全性があり、臨床的寛解率および持続寛解率は試験集団全体と比較して同等であることが示されました。

さらに詳しく解説(専門的な内容です)

目的
本サブグループ解析では、日本人のANCA関連血管炎患者を対象に、ADVOCATE試験(無作為化二重盲検フェーズ3試験)のサブグループ解析を行い、漸減型プレドニゾンと比較してアバコパンの有効性と安全性を評価しました。

方法
対象:新規発症もしくは再発の顕微鏡的多発血管炎(MPA)または多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の患者で、シクロホスファミド(維持はアザチオプリン)もしくはリツキサンで治療導入した方
アバコパン30mgを1日2回、52週間投与し、プレドニゾンにマッチしたプラセボを併用するか、プレドニゾンを20週間漸減し、アバコパンにマッチしたプラセボを52週間投与(下図)
主要評価項目:26週目の臨床的寛解と52週目の寛解持続

プレドニゾロン漸減方法
(Jayne DRW, et al. Avacopan for the Treatment of ANCA-Associated Vasculitis. N Engl J Med 2021;384:599–609.より引用)

結果
日本人患者(N = 21)は、全体(N = 330)と比較して、高齢で、腎機能が低下しており、女性でMPAを有する割合が高かった。
日本人患者のうち、第26週目に臨床的寛解を得た割合はアバコパンで9/11人(81.8%、プレドニゾンで7/10人(70.0%)であり(全体:72.3% vs. 70.1% )、
第52週目に寛解が持続した割合は、それぞれ8/11人(72.7% vs 4/10 (40.0%) でした (全体: 65.7% vs. 54.9%)。

アバコパンの安全性プロファイルは、日本人患者および試験全体の集団で同様であった。

結論
日本人MPAまたはGPA患者におけるアバコパンの有効性および安全性は、ADVOCATE試験全体の集団で観察されたものと同程度であった。

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