新型コロナ感染後の遷延する症状:他のウイルス感染との比較

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延する症状(いわゆる後遺症)についての様々な研究が報告されています。しかし、これらの報告は感染者を対象とした横断的な研究が中心であり、COVID-19との因果関係は不明です。

 

 

そこで、アメリカの大手医療保険会社であるUnitedHealth GroupのClinical Discovery Databaseから、約900万人の診療データを利用した研究結果が報告されました。

Daugherty SE, et al. Risk of clinical sequelae after the acute phase of SARS-CoV-2 infection: retrospective cohort study. BMJ 2021;373:n1098.

 

 

18歳から65歳の新型コロナウイルス感染症の患者(約27万人)を対象に、2020年までの新型コロナウイルス感染症以外の患者(2020 comparator)、新型コロナウイルス以外のウイルスによる下気道感染患者(vLRTI comparator)を対象群に設定して比較しています。

 

 

結果ですが、発症21日以上経過したあとも新型コロナウイルス感染後の症状が持続していたのは、全体の約14%だったようです。

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さらに、ほかの対象群との比較では、2020年までの対象群より症状は4.95%多く、新型コロナウイルス以外のウイルスによる下気道感染患者よりも1.65%多い結果でした。

 

 

 

また、特に2020年の新型コロナウイルス感染以外の患者群と比較して、間質性肺炎、脳症、呼吸不全、心筋症、肺高血圧、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの合併症リスクが高い傾向にあったようです。

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本研究の結果から、新型コロナウイルス感染症は、他疾患や他のウイルス感染に比べて症状の持続する割合は多く、また多くの合併症をおこしうる可能性が示唆されています。

 

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