肺活量の低下は急性増悪発症リスク因子の一つ

1993年に急性増悪の病態が初めて報告されてから30年弱が経ちましたが少しずつ急性増悪の発症リスク因子が明らかとなっています。

過去の記事でも、急性増悪の発症リスク因子には、特発性肺線維症(IPF)、肺機能が悪いこと、動脈血酸素分圧(PaO2)が低いことなどが報告されていることを記載しました。詳しくは以下の記事をご覧ください。

特発性肺線維症(IPF)の治療薬の一つに、抗線維化薬であるピルフェニドン(商品名:ピレスパ)があります。

ピルフェニドンは、2008年に本邦で世界で先駆けて製造販売承認がなされた薬剤ですが、その際に本邦でピルフェニドンの第Ⅲ相試験が行われました。その後解析として、2015年に特発性肺線維症の急性増悪におけるリスク因子が検討されています。Kondoh Y, et al. Risk factors for acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis–Extended analysis of pirfenidone trial in Japan. Respir Investig 2015;53:271–8.

本研究の結果では、52週の観察期間に急性増悪を発症したのは5.2%(267例中14例)でした。急性増悪の発症リスク因子として、

  • 6か月間で肺活量(%VC)が10%以上低下すること
    • 絶対値での変化:ハザード比8.6
    • 相対的変化:ハザードHR 4.8
  • 肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)の高値

が挙げられています。

肺機能が悪化すること、つまりは疾患進行がある場合には、急性増悪を発症する危険性が高いことが示唆されました。

疾患進行に関しては、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)の登場でこれまで以上に注目されています。

しかし、疾患進行の定義はまだ定まったものはなく、様々な議論がなされている最中です。今後、どのような基準を用いて疾患進行ありとするのか、注目が集まります。進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に関してはこちらの記事もご覧ください。

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