過敏性肺炎に対するステロイド治療は有効なのか、この疑問に関して後方指的に解析を行った研究が日本から報告されました。
背景
線維化性過敏性肺炎(HP)は、原因抗原への繰り返しの曝露によるアレルギー反応に起因する慢性の間質性肺疾患(ILD)である。副腎皮質ステロイドは主要な治療選択肢として認識されているが、線維化性HPの治療に副腎皮質ステロイドを使用した場合の治療エビデンスは依然として不足している。
本研究の目的:傾向スコアをマッチさせたコホートにおいて、線維性HP患者における副腎皮質ステロイド治療の有効性を評価すること。
方法
単一施設における2005年から2019年までの診療記録から後方指的に線維性HP患者144例を同定した。
HRCTにおける肺の異常の半定量的スコアを評価した。
副腎皮質ステロイド治療を受けた患者(PDN群)と受けなかった患者(非PDN群)を傾向スコア法を用いてマッチングさせた。マッチさせたコホートにおいて、生存率、肺機能の連続的変化、およびHRCTスコアの年次変化を比較した。
結果
マッチング解析では、PDN群30人と非PDN群30人がマッチングされ、その大半は広範な線維化を伴わないILDであった。
生存率はPDN群で有意に良好であった(層別Cox比例ハザードモデルのP = 0.032、HR=0.25)。さらに、ベースラインから6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月におけるFVCの絶対変化量は、PDN群で有意に良好であった。
PDN群では、HRCTスコアに反映されるようなすりガラス影、コンソリデーション、網状影、牽引性気管支拡張、蜂巣肺が悪化する患者がより少数であった。
<まとめ>
線維化性過敏性肺炎において、ステロイド投与は生存率を改善し、線維化の進行を抑制することが明らかとなった。