間質性肺炎の重要な合併症である急性増悪についてまとめています。過去の記事も以下にリンクを貼っていますので、ぜひ順番にご覧ください。
本日は急性増悪の原因についてまとめます。
急性増悪の原因の歴史
1993年に初めて急性増悪が報告されて以降、これまでは基本的には急性増悪は原因が不明なものと考えられてきました。
しかし、細菌感染を起こした後や新たに薬剤を開始した後などに急性増悪に類似した病態を発症することが少しずつ明らかとなり、ついに2016年に原因の有無で分類する提案がなされています。
この国際ワーキンググループからの報告では、
- 原因が不明なものをidiopathic AE
- 原因があるものをtriggered AE
と呼ぶことが提案されました。
(日本語ではidiopathic AEは特発性急性増悪、triggered AEは誘因のある急性増悪と訳すのが良いでしょうか。)
急性増悪の原因一覧
急性増悪の原因となり得るものには以下のようなものが考えられています。
- 感染(細菌、真菌、ウイルスなど)
- 薬剤
- 誤嚥
- 肺塞栓症、気胸
- 検査や手術(気管支肺胞洗浄、外科的肺生検など)
間質性肺炎では、様々なものが急性増悪の誘因となりうることに注意し、日々の診療に取り組んでいます。
また、間質性肺炎の患者では、特に感染予防には十分注意していただき、急性増悪が疑われる場合にはす早めに医療機関を受診することを覚えておいてください。
<引用文献>
- Collard HR, et al. Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An International Working Group Report. Am J Respir Crit Care Med 2016;194:265–75.
- Teramachi R, et al. Outcomes with newly proposed classification of acute respiratory deterioration in idiopathic pulmonary fibrosis. Respir Med 2018;143:147–52.