進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)という概念が報告されました。
間質性肺疾患の一部には
- 進行性に肺が硬くなっていく(線維化する)
- 咳や息切れが悪化する
- 肺活量が低下する
- QOLが低下する
などの経過を呈するフェノタイプがあることが知られており、これらは
- 進行性フェノタイプを示す慢性線維化性間質性肺疾患
- 進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)
などと呼ばれ、現在注目されています。
このようなフェノタイプを示しうる間質性肺炎には、
- 特発性間質性肺炎
- 関節リウマチや強皮症などの膠原病に伴う間質性肺疾患
- 過敏性肺炎
- サルコイドーシス
など、様々な間質性肺炎が含まれます。
2022年には間質性肺炎の国際ガイドラインが新たに提唱され、そこでこのPF-ILDはPPF(progresseive pulmonary fibrosis)という名称で呼ぶことが提案されています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
このPF-ILDに対して、抗線維化薬であるニンテダニブ(商品名:オフェブ)を用いた臨床試験が日本を含む世界全15か国で行われ、2019年にその結果が報告されました(INBUILD試験)。
Flaherty KR, et al. Nintedanib in Progressive Fibrosing Interstitial Lung Diseases. N Engl J Med 2019;381:1718–27.
INBUILD試験
この試験では、ニンテダニブ群はプラセボ群に比較して、52週までの努力肺活量(FVC)の年間減少率を有意に低下し、その有効性が示されました。
- ニンテダニブ群:FVC年間減少量 -80.8ml
- プラセボ投与群:FVC年間減少量 -187.8ml
群間差 107.0ml、相対減少率 57%。
この試験により、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対するニンテダニブによる疾患進行抑制効果が期待され、2020年に日本でも保険収載されています。
INBUILD試験の結果から、ニンテダニブは、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対して52週にわたりFVCの低下を抑制しました。
この結果を踏まえ、2020年に日本でも進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対するニンテダニブの使用が保険収載されています。